言水制作室で行っているこの「アートのある事務所を公開する試み」は、
日常的な業務の行われている出版社の事務所という、
展覧会場としては異質な空間であえて展示を行い、
見に来られた方々に日常における美術作品の有り様を提示する試みです。
今回は本を使用したインスタレーション、「利根川友理 めくられるべくある頁」を開催いたします。
本を使った作品の展覧会となりますことから、
新刊書店「書肆アクセス」、古書店「かげろう文庫」の協力のもと、両店舗内にも作品を展示します。
個々の作品は小さなものですが、本の街3ヶ所に展示されることにより、
これまでにない美術作品のあり方も露呈することと期待しています。
今回のテーマは、
『出版社の事務所に「観葉書物」を置く』です。
「観葉植物」という物と言葉に対して、
「ワタシは生まれながらにしてこういう運命なのよ……。」
という微かではあるが痛々しさを私は感じる。
書物の頁は本来めくられるべく、ある。
私の所有する多くもなく少なくもない本も
様々な時期に様々な気持ちでその頁をめくられた。
もう滅多に頁を繰られることもなくひっそりと本棚に「安置」されている本も、
私の手垢と、埃と、時間を吸い込んで購入時よりいくぶん嵩を増しているようだ。
毎日、あまり変わりばえのしない本棚を眺めるうちに、
読まずに眺められるだけの本をもっと積極的に「観て」やろうという気になった。
そして、観賞用書物を作り始めた。
本来頁をめくられるべくある書物が観賞目的の形にされるのは、
その書物にとって幸か不幸かわからない。
また、著者をはじめとしてその本を出すにあたり関わった人々の事を考えると
何か禁忌を犯しているような気分にもなる。
出版の現場に、観賞用と化した書物が、観葉植物さながらそこここに置かれている……
その光景はその書物にとって不憫? それとも、活かされる?
生まれながらの運命が変えられてしまった書物は
「観葉植物」のように予め与えられた目的に一直線!ではないが、
微かな痛々しさという点が共通項であると思っている。
その形は変えるが、これは書物を生まれ変わらせる行為ではない。
リサイクルからは程遠い。
利根川友理

タイトル めくられるべくある頁 利根川友理
会期 2006年11月10日〔金〕〜12月2日〔土〕
お休み 毎週日曜日・月曜日
時間 12:00-20:00
会場 言水制作室
東京都千代田区神田神保町1-14-205
電話03-3292-9229
交通 地下鉄「神保町」駅A5出口より徒歩2分
http://www.kotomizpress.jp/mapkotomizpress.html
料金 無料
※会場は小さな出版社の事務所です。通常通り業務が行われていますがお気軽にお越しください。
◆次の古書店、書店にも作品が展示されています。
かげろう文庫 11:00-21:00(土祝は20:00まで)、日休 千代田区神田小川町3-26-3
書肆アクセス 10:00-18:30(水木金は19:30まで、土は11:00開店)、日祝休 千代田区神田神保町1-15
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